一匹少女が落ちるまで
「どうして部活辞めちゃったんですか?」
「…え?」
ずっと黙って本を読んでいた雨宮が突然話しかけてきたので、思わず聞き返す。
「桜庭くん、バスケ得意なんでしょ?」
あ…知ってくれてたんだ。こいつ。
他人に興味なんて全くない奴だと思ってたから、少し驚きだ。
まぁ、クラスにあそこまで人が集まってきちゃうくらいだもんな。
「理央でいいよ。俺も紫月って呼ぶし」
俺は、俺のことを少し知ってくれていた雨宮に気分を良くして、ふざけ半分でそういった。