一匹少女が落ちるまで
『チュー』
園子のそのセリフに思わず、3日目の夜、理央と話したあの日を思い出して反応してしまった。
あの日の私は、逃げることをしなかった。
理央の顔が近づいてくることも、理央が何をしようとしているのかも、わかっていたのに。
「もしかして、紫月…理央くんと」
「違うっ!」
「へ?」
「あれは事故で…えっと…初めて図書室に来た時も理央は…」
そう。
あの頃と同じ『暇つぶし』をされただけ。
なのに。
まだ思い出しては恥ずかしくなるのは。
やっぱり…。
「その慌てよう。理央くんにヤキモチ妬いちゃうなー私」
園子はそう言って、私のベッドに背中をもたれさせながら伸びをした。
「で?理央くんと何があったの?全部ソノちゃんに話しちゃいなさいっ!」
園子にそう言われて、私はゆっくり首を縦に振ってから、あの夜にあった出来事を話した。