一匹少女が落ちるまで
「………」
「言いたくないならいんだけどあんまり遅くなるとみんな心配…」
「失恋しちゃって」
「っ…」
俺が話し終える前に、話し出した雨宮妹。
「小中ずっとおんなじで、ずっと好きだった人がいたんです」
明るくそう話す彼女は、なんだか今にも泣き出しそうなのを隠してるように見えて。
「でも、今日、彼が片想いしてた子に告白して、それでOKもらって付き合うことになって…」
「そうだったんだ…」
「でも、違うんですよ。おかしいんですよ。ずっっと一緒だったし、席替えのたびに話しやすいから私の隣がいいとか言ってきたり、勉強見てくれたり…頭触ってきたり…なんかそういうのって、勝手に浮かれちゃうじゃないですか」
彼女はたくさん話しだけど、その度に声は震えていた。
痛いほどわかるよ。
君の気持ちが。
「それは勘違いしちゃうよね」
「…やっぱり…勘違いだったんですかね、少しも私のこと好きじゃなかったのかな…」
俯いてそういう彼女は、「はぁー」とため息をついた。