一匹少女が落ちるまで


「…大雅くん、なんだかしーねーちゃんのこと好きになりそうな言い方」


まだ目の周りを濡らしたままの彼女がそう聞いてくる。


「いや…いい奴だと思うけど、恋愛対象にはならないよ。一応、俺はまだしっかり幼なじみのことが好きだし。っていうか、雨宮好きな奴いるよ。本人はまだ気づいていないみたいだけど」



「……えっ、しーねーちゃんに…好きな人?」


星花はありえないという顔で俺にそう聞き返す。



「絶対両思いなんだから、さっさと付き合えばいいのにって、なぜか俺が歯がゆくてイライラしてんだよ」


「……もしかして…理央くん?」


「さー。ねーちゃん本人に聞いてみれば?多分さ、失恋したことをあんまり思い出さないように全然違うこと考えれば早めに吹っ切れると思うよ」



俺はブランコから立ち上がって、そう言った。


1人なら辛いけど。


きっと分け合うことができるなら。



「帰ろう、うちに」


俺が振り返ってそういうと、


彼女は深くうなづいてから、ブランコから立ち上がった。



大丈夫。


君もきっと、



強くなれるから。




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