一匹少女が落ちるまで


─────ドンッ


体が勢いよく跳び箱にぶつかって、私はそのまま下に敷かれたマットに手をついた。


痛い。

肩に強い痛みが走る。


ここは、体育倉庫室。


「久しぶり、雨宮さん」



城ヶ崎さんはそう言って、片方の口角を上げた。



『久しぶり』
その言葉はきっと、いじめの対象として『久しぶり』ということだろう。


修学旅行前、理央が私を班にしたことで、嫌がらせは無くなっていたから。こういうのは城ヶ崎さんのいうように久しぶり、久々だ。



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