一匹少女が落ちるまで


「…雨宮が桜庭をみているように、俺も雨宮のことそういう目で見てるってことだよ」


─────っ?!



今までより、先輩との距離が近い気がするのは、こうして2人で話すのが久しぶりだからなのか。



理央を意識するようになって、今まで気にしていなかった色んなことが気になってそわそわしてしまう。



「…桜庭だけじゃなくて、俺のことも意識してほしいな。桜庭も俺も一応男だから、簡単にこんな風に2人きりになったらさ…」



「……っ」


風間先輩がまた少し顔を近づけるので、思わず息を止めてしまう。



今日の風間先輩がおかしく見えるのは。


私がおかしくなっちゃったからなのか。



「俺だって桜庭だって、何するかわかんねーよ」



先輩はそう言ってから私の頭に優しく手を置いた。




「以上。また城ヶ崎に嫌がらせされたらいつでもいいな。絶対助けるから」



風間先輩はそう言って私の頭を優しく撫でると、立ち上がって、倉庫を後にした。




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