一匹少女が落ちるまで


────────

……


「雨宮さんっ!」


靴箱で靴を履き替えていると、後ろから声をかけられた。


ふわふわとした女の子らしいその声の持ち主は私が大切にしたいと思った高校で初めてできた友達。


新山 心さん。



「…あ、新山さん」


「今日の放課後用事ある?」


「え、ないですけど」


「本当っ?!じゃあさ、放課後デートしようよ!」



すごく嬉しそうに私にそう言ってきた彼女は、すごく可愛くて。


だけど、可愛いと思うたんびに、チクリと自分の胸が痛んだ。



「…放課後…デート?」


「うんっ!って言っても、私あんまりお金持ってないから、ハンバーガー食べるくらいしかできないんだけど…」


「…行きたい」



素直に出た言葉だった。




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