一匹少女が落ちるまで
【side 理央】


「桜庭くんっ!」


週末。


待ち合わせ場所で待っていると俺の名前を呼んで走ってくるの女の子が見えた。


いつも学校で見る彼女とは少し違っていて、髪は緩く巻かれていたし、頬がほんのりピンクで、メイクしたんだっていうのがすぐにわかった。



そんな紫月見てみたいな…。


なんて。


彼女の友達を見て彼女のことをまた思い出してしまった。



『邪魔しないで』


彼女にそう言われたっていうのに。



いつから俺、こんなに紫月のこと…。



「ごめんね、待ったかな?」


目の前で俺の顔を不安そうに伺う彼女は、なんだかいつもより距離が近い感じがしたけど、すぐにそんなものは俺の得意な勘違いだと思った。



「全然。早速行こっか」


「うんっ」


そう元気よく首を縦に振った新山。



以前俺や紫月、赤羽のことを隠れて見ていたような彼女じゃなくて明るい笑顔を振りまく彼女がそこにはいた。



自分の修学旅行前の行動が正しかったんだと実感できて。



素直に、ただ嬉しかった。




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