一匹少女が落ちるまで


「この曲、俺も特に好きかも」


「うんっ!いい曲だよねっ!この人たちの曲は…なんていうか、弱い自分でもいいんだっていうのと…」


「下手くそな自分でもいいんだって勇気がもらえるよね」



新山からヘッドフォンを受け取って曲を聴きながらそういう。



「うんっ!そうなの!聴けば聴くほど共感できて…」



「聴けば聴くほど好きになる」



「本当そうっ!」



興奮気味の彼女は両手を握ってそう力強くいう。


こんなに身近に、こんなに自分と同じくらい好きなものを好いてくれる人がいたなんて。



嬉しい。



「だからね…」



さっきまで目をキラキラさせて喜んでいた顔とは一転、彼女は少ししょんぼりとしてから話し出した。



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