一匹少女が落ちるまで
「…紫月はさぁ、なんで1人でいるの?」
本読む紫月を横から見つめながらそう聞くと、紫月は本から目を離してこちらをじっと見た。
「逆に聞くけど、理央はなんでみんなといるの?」
──────ドキッ
って。
ドキッじゃねぇ!俺!
不意打ちで、下の名前を呼ばれ、しかも呼び捨て。
予想外だったから思わず…。
いや、ないない。
相手は地味メガネだぞ?
こいつに呼び捨てで呼ばれて何を戸惑ってるんだ。
しかも『理央でいい』といったのは俺の方じゃないか。