一匹少女が落ちるまで
「なんか…お腹空いちゃったね!」
CDショップから出ると、さっきの涙目は嘘だったかのように新山はそう言って、近くの噴水の淵に腰を下ろしてから、スマホでお昼を食べるお店を探し出した。
新山と紫月が、本当の友達になれるかもしれない。
そう思っていた俺の気持ちはただの願望だったのだろうか。
俺だって、まだまだ部活の連中や学校のやつらが怖い。
でも、少しずつ変わりたいと思っている。
新山だって同じだと思っていた。
でも違ったのか?
「桜庭くんは、何が食べたい?」
「え、俺はなんでもいいよ。新山さんが食べたいもので」
「ううんっ!今日は私のわがままで桜庭くんに付き合ってもらってるんだもん!桜庭くんが食べた……」
「あれーーー???」
新山と話していると、前方から大きな声が聞こえて俺たち2人は一緒に同じ方向を見る。