一匹少女が落ちるまで
雨宮さんも桜庭くんのことが好きだろう。
そんなこと、正直、桜庭くんを好きになる前からわかっていた。
でも、修学旅行の時、ちゃんと雨宮さんに桜庭くんのこと好きかどうか聞いたから。
雨宮さんはなんとも思ってないといった。
だから…。
私は悪くないもん。
「…新山さん?」
色々考えていると、正面に座る桜庭くんが私の顔を心配そうに見ていた。
「あ、ごめんなさいっ。ぼーっとしちゃって…私、ちょっとお手洗いに」
私は、強張っている顔を彼に見せないように、席を立った。