一匹少女が落ちるまで
目の前の新山は目をウルウルとさせていて、顔が真っ赤にも見えた。
それでも俺は此の期に及んでまだその顔の赤らみは沈みかけてる夕日のせいだなんて思おうとしていて。
だけど、彼女のこの顔は…完全に…。
「あのね、桜庭くん…」
あぁ、どうしよう。
言わないでほしい。
傷つけたくないから。
もしそうなら。
言わないで。
「───好き」
──────っ?!
俺は新山の小さなその声を聞いて目を見開くことしかできない。
いや、わかるじゃん。
今までの俺ならすぐに勘付いていたじゃん。
「新山さん…あの…」
「好き。好き…です」
泣きながら彼女が訴えている理由。
そんなもの、わかっているのに。
「えっと…」
恋は盲目なんて言葉で片付けられるわけがない。
答えは決まっているから。
絶対に傷つけるから。