一匹少女が落ちるまで
本当の友達
【side 紫月】


昨日、理央と新山さんは2人きりで出かけたんだ。


そんなことばかりが頭に浮かぶ、日曜日の朝。


─────チラッ


─────チラッ


─────チラッ


朝ごはんを食べていると

何度もこちらに向けられる視線。



カチャ


私は、メガネを軽く押し上げてから斜め向かいに座る星花を見た。



「星花、何か言いたいことがあるなら言って」



「はっ?!別にっ」


私がそういうと、星花は慌てて味噌汁をすするふりをした。


数日前から、星花はなんだか私に言いたそうな顔をする。


でも、こちらが話しかけるとさっきのように「別に」とあしらわれてしまう。



なんなんだろう。


「しーねーちゃんっ!夏休み、プール行きたいっ!」


「うみは虫捕りがいい!たくみくんはね、家族でハワイに行くんだって!」


「ハワイ?」


「えー空、ハワイ知らないの〜?ハワイね、ガイコクなんだよ!」


「ガイコク?」


双子達がわいわいとおしゃべりをはじめる。



夏休み…か。



1ヶ月、学校に行かなくてよくなるんだ。


毎年、私にとって長期の休みは救い。


今年はみんなでどこに行こう…。




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