一匹少女が落ちるまで



「今年はどこにも行けないよ」


「「えーーーーー!なんでー?」」


星花の少し不機嫌な声に双子が大きく声を漏らす。


「私、来年受験生だし、もう塾に行きだして勉強してる子だってたくさんいるの。私の受験が終わるまで旅行とか無理だから」


「ちょ…星花…」



「 「えぇーーーー!」 」


「文句言わないで」


「ほしねーちゃんだけ、お留守番!」


「そーだよ!空たちジュケンセイじゃないもん!」




朝から…賑やかだなぁ。



「ねーしーねーちゃんっ!行こうよ!ハワイー!ハワイー!」


「ん〜…」


夏休み、遠出するのは雨宮家の恒例行事だったけど…。



今年は…。


「今年は星花のいう通り、ハワイには行けないかな、プールとか虫捕りなら連れてってあげられるよ」


私がそう言っても双子たちは不服そうな顔をしたけど、小さく頷いて朝ご飯を再開してくれた。




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