一匹少女が落ちるまで
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「しーねーちゃんは行けば?」
朝ごはんを食べ終わり、食器を洗っている私の横に来た星花が小さくそう言った。
「えっ?」
「ほら、ソノちゃんとか、前に連れて来てた理央くんとかとさ、プチ旅行的な?」
「…何、突然」
星花の突然の提案に少し動揺したのは、理央の名前をこんな近くで久しぶりに聞いたから。
「別に、なんとなくだよ。3日くらいなら私1人で2人のこと見れるし。旅行じゃなくても、たまには息抜きしなよ」
「……」
「最近、しーねーちゃん疲れてるっぽいしさ」
星花はそう言って、私の肩をトントンと軽く叩くと、キッチンを後にした。
星花…何考えているんだろう。
そりゃ、理央は新山さんといわゆるデートとやらをしたわけで、その後どうなったのとかすごく気になって、寝不足ばかりで疲れているけど…。
まさか、星花から私にそんな声をかけてくれるなんて、意外だった。