一匹少女が落ちるまで
「…すげぇな、紫月」
「どうも」
───スッ
紫月はそう言ってから、スクールバッグを肩にかけて、席を立ち出した。
「え、…帰るの?」
「集中できないので」
「あ…そっか」
「理央は帰らないんですか?」
呼び捨て+敬語に違和感しかない。
「…俺はもう少しいる」
まだ家には帰れないから。
「そう。さようなら」
紫月は、そうぶっきらぼうに言うと、本を棚に戻してから、そのまま図書室を出ていった。