一匹少女が落ちるまで


『あっ、もしもし!雨宮さん!』


すごく元気な声。

そんな声しちゃっていたら、どんなことが言いたげなのかすぐにわかっちゃうよ。


「はい。どうしました?」


『あ、ごめんね、せっかくの日曜日に…』


「いえ」


『雨宮さん、今から会うとか…できないかな?』


「…え、今…から?」


わざわざ会って、2人のノロケ話を聞かなくてはならないのか…。



『うん。どうしても話したいことがあって…雨宮さんには話したい話で…友達、だから』



「友達」そんなセリフを聞いて胸がズキンと痛む。


友達の好きな人が好きな私は。
友達が幸せになったのに、素直に喜べないきっとひどい人。


それなのに、友達だって言ってくれる新山さん。



「わかりました。では何時から─────」



私は、新山さんに会うことにした。


大事にする。


そう、決めたから。


辛くても、笑わなきゃ。




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