一匹少女が落ちるまで
「ひねくれてるよ。すっごく…」
そう言って、新山さんは中学校の隣にある坂道を上りだした。
坂道の両端には木が生い茂っていて、蝉のミーンミーンと鳴く声がうるさい。
新山さんは坂道上りながら「懐かしいな〜」なんて声を出していた。
私は、その少し後ろをただ見てついて歩くだけ。
新山さん、あなたは今、何を思っているの?
どうして私を連れてきたの?
色々聴きたいことはあるけれど。
きっと新山さんは、そういうもの全部含めて話そうとしてくれている。
私は、そう信じて、彼女の背中を見つめた。