一匹少女が落ちるまで


「ついたー!!」


彼女がそう言って両手を広げて見ていた先を見ると、そこには転落防止の手すりがあって、先は緩やかな崖になっていた。


周りを見渡すことができて、涼しい風も吹いて、すごく気持ちのいいところだ。



「嫌なこととかあった時、よくここに来て叫んでたんだ。私の秘密の場所。教えたの雨宮さんが初めてなんだからね」



クルッと私の方を振り向いて笑った新山さん。


「いいところですね。気持ちがいい」


「でしょ?…久しぶりにすんごく嫌なことがあったから来たの」


「は、はあ…」



「今までもあったんだけどね、蓄積っていうのかな…溜まってたものが昨日爆発しちゃったんだ」



昨日…。


昨日って…。



心臓がドキドキと悪い意味で鳴り出す。



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