一匹少女が落ちるまで
「私ね、桜庭くんに振られちゃった」
─────っ?!
聞き間違いかもしれない。
幻聴かもしれない。
「えっ…」
「何度も言わせないでよ〜!…桜庭くんに振られたー!」
新山さんはそう言って、空に向かって叫んだ。
どうして。
絶対に2人は一緒になったんだとばっかり…。
「なんかムカつくよ。あんなに優しくしといて、『ごめん』って」
新山さんは、見た目によらず、意外とズバズバというけど、本当はすごく辛いはず。
だって、修学旅行の夜、あんなに嬉しそうに理央の話をしていた。
理央との放課後をすごく楽しみにしていた。
だから…。
どうしよう。
こんな時、なんて声をかけたらいいのかわかんない。
学校では教えてくれない。
園子ならなんていうだろうか…。