一匹少女が落ちるまで
「知っていたのに、私は雨宮さんに桜庭くんのことを協力してもらおうとしていたの。ひどいじゃん。だから…怒って」
「…怒るなんて…恋愛って止められるものじゃないから」
知ってて止められないのは仕方がないことだと思うの。
今身に染みて私は感じているから分かるよ。
「違うの。私は、好きとは別の感情も桜庭くんに持っていた」
新山さんは髪の毛を耳にかけて少し深呼吸してから話し始めた。
「ずっとありのままの自分を晒せば絶対みんなに認められないって分かっていたから、嘘ついて合わせて生きて来たの。それなのに、素直に生きてて桜庭くんから必要とされている雨宮さんが羨ましかった。桜庭くんのことは本当に好きだったけど、桜庭くんと付き合うことで自分の株があがるのを期待していたのも好きの理由にしていたと思う」