一匹少女が落ちるまで
【side 紫月】
「…変な人」
私は、図書室を出てからため息混じりにそう呟く。
なぜ、『どうして部活、やめちゃったんですか?』なんて聞いてしまったんだろう。
私らしくない。
どうでもいいと自分で言ったはずなのに、気付いたら口が開いていた。
『暇つぶし』
彼は、図書室に来て私に絡むのはそれだと言った。
明日から、放課後はああ言うことが続くの?
とても迷惑極まりない。
でも…。
『すげぇな…紫月』
その言葉が、ほんの少し嬉しかった。
今までは『心が欠けている』とか『ロボット』なんて言われ方をしていたから。
そんな私のことを『すごい』なんて言ってくれたのは理央だけで。
私は、図書室の扉を少し見つめてから学校を出た。