一匹少女が落ちるまで


────────


「海斗?!」


急いでうちに帰ってきてすぐ、私は海斗の名前を呼びながら双子の部屋に向かう。


「…海斗、海──」


「シーっ」


────?!


部屋のドアを開けようと手を伸ばすと、部屋から口に人差し指をあててそういう理央が出てきた。



「今寝たよ。公園通り過ぎようとしたらたまたまそらちゃんが泣いてるの見つけて。駆け寄ったら、すぐそばで海斗がじゃがみ込んでてさ。 多分軽い熱中症だと思う」



「…熱中症」


「何度か紫月に連絡したけど…取らなかったから勝手に家に上がった…ごめんな」


「ううん。すごく助かりました。ありがとう」



理央がもし見つけてくれなかったら…。


海斗はどうなってただろう。



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