一匹少女が落ちるまで
「…おはよ…あれー?りおくんがいるー!」
ドアの中から目をこすりながら出てきたのは、泣き疲れて寝ていた双子の空ちゃん。
空ちゃんは、キッチンに立つ俺目掛けて走ってくると、俺の足にギュッとしがみついた。
お昼、あんなに大泣きしていたのに、俺が駆け寄ったことも、海斗が倒れたことも忘れたんじゃないかってくらい明るく元気だ。
なんか、さっきまでこの子の姉をちょっと卑猥な気持ちで抱きしめたことを申し訳なくなる。
「のどかわいた」
そんな声が空ちゃんが出てきたばかりのドアから聞こえて、俺たちは視線をそこに移す。
「海斗っ!」
気づいた紫月は、そう言って海斗に駆け寄った。