一匹少女が落ちるまで
「気分は?頭痛くない?」
「うんっ!だいじょうぶだよ!ほしねーとりおがお水くれたり頭ひやしてくれたりしたから!りお、ありがとうっ!!」
笑顔でそう俺に礼を言う海斗。
「あぁ。あんま無理すんなよ」
「うんっ!」
海斗の元気な姿を見て、紫月が安心したように微笑んだ。
よかった。
「…理央、本当に助かった。ありがとう」
紫月は俺の方を見てそう言う。
好きな人にお礼を言われて、嬉しくないわけがない。
「どういたしまして」
俺はそう言って返事をした。
彼女に対してのこの気持ちを
今すぐどうしようなんて考えられないけど
伝えたら崩れてしまうなら
この気持ちを伝えるのは我慢しようと思う。