一匹少女が落ちるまで
山岡が言うように、足はもうとっくに治っているし、医者にも再開してもいいと言われた。
でも俺は…。
父さんには、バスケを続けてるふりをして、
クラスの奴らには、もう走れないなんて言って
みんなに嘘をついて、1番には父さんに、苦しかった世界から抜けだそうとした。
そんな時に出会ったのが紫月で。
逃げ出したのはいいけど、今の俺を自身を変えなくちゃいけないって気付かせてくれたんだ。
バスケを続けるふりなんて、そろそろ限界だと思うし、母さんや兄貴に嘘をつき続けるのも気が重い。
でも…。
まだ怖くて。
俺はまだ、1番踏み出さなきゃいけない時に、その一歩を踏み出すことが出来ていない。
弱虫で、臆病。
そんな言葉が俺にはぴったりだ。