一匹少女が落ちるまで
【side 紫月】


昨日の夜、顔が見えなかったからか理央と普通に話すことが出来た。



理央のことが好きかもしれない。


そんな気持ちがバレないように、だけど、感謝はちゃんと伝わるように。



理央と話しながら途中で眠ってしまって、記憶も曖昧だけど、素直に理央がそばにいることに嬉しいなんて感じていた。


最初の頃、鬱陶しいなんて思っていたのに。


理央のこと、苦手だなんて思っていたのに。



人って変わるもんなんだと、自分を見つめて改めて思う。




「雨宮っ」



学校について、教室に向かう階段を登っていると、落ち着いた爽やかな声が私の名前を後ろから呼ぶのが聞こえた。




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