一匹少女が落ちるまで
トコトコと先生が図書室を歩き回る足音が聞こえる。
私と理央は、絶対にばれまいと息を止めるように静かにする。
お互いの距離が近くて、それにまたドキドキと胸が鳴ってしまう。
どうしよう…すごく近い…。
プルルルルルル
プルルルルルル
─────っ!
突然、大きな音が図書室に響いた。
多分この音は、図書室のカウンター側に設置された内線電話の音だ。
「はいっ。あ、はーい!わっかりました〜」
─────ガチャ
先生は電話を取って答えると、電話を切って「めんどくさ〜い」なんてつぶやきながら図書室を後にした。
「職員会議に呼ばれたのかもしれません」
すぐ目の前で息を潜めてる理央にそういう。
「そっか…とりあえずバレなくてよかった」
理央はそう言って「ふー」と安堵の息をもらした。