一匹少女が落ちるまで
………
………
「心……」
美術室を出たところにある洗い場で、ばったり彼女を見かけた。
後ろから声をかけると、心はビクッと肩を上げてから恐る恐るこちらを振り返った。
「城ヶ崎さん……」
「なんか、久しぶりね」
そう言いながら私も彼女の隣で絵の具で汚れたパレットを洗う。
彼女が私のことを避けていることも、今雨宮といる時の方が楽しそうなのもよくわかっている。
だから余計、腹が立つ。
「最近、心すごく楽しそうだね、よかった」
「え、あ…うんっ」
私が笑いながら言うと、彼女はホッとしたようにそう返事をした。
うんって…
バカなんじゃないの?
─────バンッ!
「……っっ!」