一匹少女が落ちるまで



気付くと私は、絵の具で汚れた筆を彼女の制服に投げつけていた。


彼女のクリーム色のベストの一部が、オレンジ色に汚れてしまってる。


それでも、私の怒りは収まらなかった。


どうして彼女は、


雨宮を選んだの?



目の前の心はもう目に涙を溜めていて、その涙が余計私をムカつかせた。



泣けば許させるとでも思ってるのかしら。



「よかった、なんて思うわけないじゃない!」


「……っ」



「地味なあんたが今まで学校で平和に暮らせていたのが誰のおかげなのかわかんないわけ?」


「…それは」


口答え。

反論なんてさせてやらないんだから。


私を裏切って、タダで済むなんて思わないでほしい。



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