一匹少女が落ちるまで


「あんたが中学の時いじめれていたのも、本当はすっごい貧乏なのも、私ず〜〜っとみんなに黙っててあげてたんだよ?それなのに何?なんなのその態度」


「……」


下唇を噛んで涙をこらえる彼女を私はどんどん追い詰めていく。



「みんなにバラしてもいいんだけど」



彼女がどんな思いで今まで努力していたのかを私は少しは理解してあげてるつもりだ。


だから、彼女のために上位の価値観を教えてきてあげていたし、彼女のキャラも守ってきた。




だから、クラス全員に本当のことをバラされるなんていう、今までの努力が全部無駄になるようなこと彼女が許すわけがない。



「雨宮さんの絵、台無しにしてきてよ。そしたらバラさないであげるから」



「…そんなことっ!」



「できるでしょ?今までだって、私があの子に嫌がらせしても、あなたただ見てただけじゃない。できないなんて言ったら…」



絶対言えるわけない。

そんな度胸、彼女にはこれっぽっちもないんだから。


雨宮よりも、私の方が断然、心のことを知っている。




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