一匹少女が落ちるまで
「どうせ緒方先生、保健室に遊びに行ってるから、自由に入り放題だよ」
「…えっ」
「いいから」
「ちょっ」
なぜ風間先輩がここにいるのかも、
どうして一緒に図書室に入ろうとしてるのかも
先輩が私の腕を捕まえて図書室のドアを開けたことも
全部どうしてなのか理解する前に、私はキャレルデスクの1番後ろに座るように促された。
「…あの、先輩どうして」
風間先輩には完全に嫌われていると思っていたから、あの笑顔で話しかけてくれるなんて思わなかった。
まさか、今隣に座っているなんてことも。
「俺たちのクラス、情報の授業でパソコンだったんだ。それで…まぁなんか、聞こえちゃって…」
美術室とパソコン室は同じ階にある。
私たちの口論が聞こえたのは仕方がないとして…。
「それで、なんで先輩が私のこと追いかけて来るんですか」
「心配、で」
「心配?」
「…え、立派な理由だと思うんだけど、ダメ?」
雨宮に優しくするくらいの人だから、やっぱり変な人だ。