一匹少女が落ちるまで

「どうせ緒方先生、保健室に遊びに行ってるから、自由に入り放題だよ」


「…えっ」


「いいから」


「ちょっ」


なぜ風間先輩がここにいるのかも、


どうして一緒に図書室に入ろうとしてるのかも


先輩が私の腕を捕まえて図書室のドアを開けたことも


全部どうしてなのか理解する前に、私はキャレルデスクの1番後ろに座るように促された。



「…あの、先輩どうして」


風間先輩には完全に嫌われていると思っていたから、あの笑顔で話しかけてくれるなんて思わなかった。


まさか、今隣に座っているなんてことも。


「俺たちのクラス、情報の授業でパソコンだったんだ。それで…まぁなんか、聞こえちゃって…」


美術室とパソコン室は同じ階にある。

私たちの口論が聞こえたのは仕方がないとして…。


「それで、なんで先輩が私のこと追いかけて来るんですか」


「心配、で」


「心配?」


「…え、立派な理由だと思うんだけど、ダメ?」


雨宮に優しくするくらいの人だから、やっぱり変な人だ。



< 368 / 487 >

この作品をシェア

pagetop