一匹少女が落ちるまで
「…玲奈?」
ダイニングテーブルの横に立つ私を見て、スーツ姿のパパは驚いた様子でこちらを見た。
その顔がおかしくて、自然に顔が緩む。
「ご飯、作ったの。…その……食べる?」
親子なのに。
もう17年近く一緒なのに。
パパと話すのがすごく緊張する。
「ご飯って…玲奈が?」
パパはまだ目を大きく開けてから、少し大げさだよと思う言い方をした。
「私、高校生だよ。ご飯くらい作るよ」
「…あ、あぁ、そう、だよな、うん」
パパは不自然な相槌を打ちながら「そうかそうか、玲奈が…そっか…」なんて、テーブルに並べられた夕飯をみて口元を手で抑えた。