一匹少女が落ちるまで
「ずっとね、私、パパに嫌われてるんだと思ってたの」
「え?」
「私のこと全然褒めてくれないし、仕事ばっかりで私のことどうでもいいのかもって。それでひにくれて、パパのこと無視したりしてて…本当はね…っ…うっ」
どうしよう。
涙が1つ落ちたのが見えた瞬間、
私は崩れるように泣き出してしまった。
「…玲奈」
椅子が引かれる音が聞こえてすぐ、私の体がパパの腕の中に収まった時、パパが私の名前を優しく呼ぶ声が聞こえた。
「…ごめんな、1人にして本当にごめん」
「…うっ…」
『本当は寂しかった』
言葉にしなくても、パパは私が言いたいことをわかってくれた。