一匹少女が落ちるまで


「勝手に、玲奈はもう大人だから大丈夫なんて決め付けてた。本当ごめん」


パパの腕の中はすごく心地よくて、あったかい。



「今まで、ちゃんと言葉で言わなくてごめん。玲奈は…パパの自慢できる最高の娘だよ。パパとママの一番の宝物だ」




パパはそう言って抱きしめる力を少し強くした。




言わなくてもわかってくれているだろう。

そう思って、言葉にして思いを伝えるのがどうしても後回しになってしまう。


いつか会えるかもって。


でも、いつかがくるなんて保証はどこにもないから。



思った時に、伝えるようにしたい。



許してもらえないかもしれない。


聴いてもらえないかもしれない。


ただの私の自己満足だなんてこともわかっている。


だけど。


心からちゃんと、


謝りたい。


そうしてまた、一歩、なりたい自分になれるように。




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