一匹少女が落ちるまで
「大雅くんには、ちゃんと言ってから行こうと思って。誰かに宣言しないと実行しないタイプだから、私」
「今から、言いにいくの?」
「うん。もう春樹にも連絡した」
「そう…」
「ありがとうね、大雅くん」
「え、なんで」
突然の礼に戸惑う。
「だって、大雅くんが教えてくれたんだもん。自分から窓を開けなくちゃって。私の窓の鍵を開けてくれたのは、大雅くんだよ」
「……っ」
おいおい、俺。
何中学生にキュンとしちゃってんだよ。
「今度、またうちに遊びにおいでよ。その時は私が夕飯ごちそうするから。お礼に」
「…あぁ、分かった。楽しみにしてるよ」
「うん。お仕事頑張って!」
「星花も」
俺はそう言って、彼女の頭を少し雑に撫でてから、部屋を後にした。