一匹少女が落ちるまで
「はーいー!みなさーん!聴いてくださーい!!ここにいる城ヶ崎玲奈さん、実は1年の時に〜!!」
─────ガンッ!!!!
────っ?!
女子の大きな声は、それよりももっと大きくて乱暴な音にかき消された。
ざわざわとしていたクラスが一瞬にして静まり返る。
「…やめろ」
廊下側の席で、自分の机を勢いよく蹴飛ばした人が低い声でそういった。
その声の持ち主は、中学の頃からずっと桜庭の隣でバスケをしていた山岡だった。
「…や、、山岡くん…?」
びっくりして固まる女子。
普段、大声なんて出さないタイプの彼が、今この瞬間にこんな風になってしまうなんて。
誰もがその光景を疑った。
ずっと一緒にいた桜庭でさえ。