一匹少女が落ちるまで
城ヶ崎は俺が守る。
そう決めたのに。
『私と友達になってください』
城ヶ崎はそう言う彼女のセリフに頷こうとした。
城ヶ崎がそれで幸せならいいなんて、そんなこと思えない。
理央のことといい、城ヶ崎のことといい。
雨宮はどうして、人のものを奪うんだ。
どうして周りは、雨宮に引き寄せられるんだ。
ずるい。
今の雨宮は確実にずるかった。
城ヶ崎に仕返しするどころか、許すだなんて。それで、城ヶ崎はめでたくあの4人の仲間入り?
違う。
そんなシナリオおかしい。
城ヶ崎は、俺しか味方がいなくなって、俺のことを…。
「山岡くん…」
シーンとした教室で俺が席から立ち上がると、城ヶ崎が俺の名前を呼んだ。
城ヶ崎と同じグループだった女子が、みんなの前で何を言おうとしていたのか、俺は知っている。
だから止めた。
その話は、今この状況に関係ないし、第1城ヶ崎を余計傷つけるから。
「本当は、そうじゃないでしょ、城ヶ崎」
俺は城ヶ崎をまっすぐ見る。
「俺だって、雨宮にはすげームカついてんだよ。無理にいい人にならなくなっていい。変わろうなんて…」
城ヶ崎は城ヶ崎のままでいい。
不器用で、素直じゃない君のままでいい。
俺だけがわかってるし、俺だけは味方だから。