一匹少女が落ちるまで


「…違うよ、山岡くん」


強がりで、皮肉れ屋な君でいいのに。


「何が違うんだよ」


「いい人になるんじゃないの。なりたい自分になるの」



「……っ」



─────キーンカーンカーンコーン



─────ガラッ


「ほーい、席つけ〜!なんだお前ら突っ立って、ほら席つけ席つけ!」



チャイムが鳴り、担任の伊達がはいってきてから、クラスの奴らはガタガタと席に着いた。



なんだよ…。


城ヶ崎のなりたい自分って。



本当は弱い君が好きなのに。


強く生きようなんて、思わないでいいのに。




城ヶ崎は、俺と一緒だと思ってた。


本当は1番弱くて、やきもちを焼いて皮肉れる。


だから、分かり合えると思ったし、支え合えると思っていたのに。



それもこれも全部雨宮のせいだ。



どうすれば、雨宮に仕返しができる?


雨宮は、城ヶ崎にどんなに嫌がらせをされても屈しなかった。




雨宮が…辛がる顔…。



それは────────。



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