一匹少女が落ちるまで
「ポケットに入れて、お店を出て、みんなと遊んだ帰りに1人で頭下げに行ったの」
「なんでわざわざそんなこと…」
「うん…自分でもよくわかんないんだけど、強さの意味を履き違えてたんだと思う。私は度胸があるってところをみんなに見せれば、グループのみんなが付いてくるんじゃないかって。もしバレてもパパが守ってくれるからなんてテキトーなこと言ったりしてさ」
「そう、だったんだ」
「でも、私があの時万引きした事実は変わらない。だから、いつか誰かが言いふらすのも時間の問題だってことはわかってたから」
「……」
「でも、ありがとう。山岡くんみたいな存在が1人でもいるって思ったら少し頑張れる」
変わりかけてる彼女のこと、
嫌だなんて思ってたのに
やっぱり顔を見ると心臓が鳴るのは…。
公園で彼女を見かけた時よりもずっと
好きになってる証拠だ。
彼女のことを
俺が守りたい。
雨宮や理央なんかじゃなくて。