一匹少女が落ちるまで
「雨宮さん、放課後はいつも図書室に来てるの?」
桜庭くんは隣の椅子を引きながら私にそう尋ねる。
あぁ。話しかけて欲しくない。
カチャッ
私は本当の気持ちを言う代わりに、メガネの真ん中を押し上げる。
「そうですけど」
「ふ〜ん。本好きなんだね〜。友達と遊んだりしないの?」
カチャッ
桜庭くんがまだ質問し続けるので、またメガネの真ん中を押し上げる。
「…読むのに集中したいので、話しかけてこないでもらえますか?」
我慢するつもりだったセリフを吐いて、私は読んでいた続きの文を探す。