一匹少女が落ちるまで
「理央!!」
太くて低い怒鳴った声が一階全体に響いたかと思うと、スーツを着た男性が、すごい怒った顔で理央に近づいた。
「と、父さ─────」
─────バシンッッ!!!!
──────?!?!?
驚いた理央の顔を、その男性が勢いよく平手打ちした。
何が起こったのかわからなくて、隣で見てた私はフリーズしてしまう。
「部活辞めたってどういうことだ!!わかるようにちゃんと説明しろ!!!」
今目の前にいる男性には、私のことが見えていないみたい。
理央はこの人を見て、「父さん」と言いかけた。
この人が…理央のお父さん?
信じられなかった。
ワナワナとまだ怒りが収まらないように見える理央のお父さんは、拳を握ったまま理央を見ている。