一匹少女が落ちるまで


「ご飯、何作ってくれたの」


キッチンにやってきた赤羽くんは、星花にそう声をかけた。


「…え、あ、ハヤシライスだよ。ソノちゃんにもちょっと手伝ってもらったけど」


「え〜ちょっと?かなり手伝…っなんでもないです」


突っ込もうとした園子を星花が勢いよく睨みつけるので、園子が慌ててそう言った。


「あ、私、玲奈ちゃんと心ちゃんと喋りたい!紫月紹介してっ!」


「…えっ」


「鈍感紫月ちゃん、早く」


園子は意味深な笑顔でそう言うと、私の手を強めに握ってから、赤羽くんと星花の間を通った。




私は少し振り返って、星花と赤羽くんを見る。



あの2人…。


いつからあんなに親しそうに?


星花は赤羽くんとなんだか楽しそうに話していて…。


会ったのはたった一回のはずだけどな…。


少し疑問を抱きながら、私は園子と、心と玲奈がいるダイニングテーブルに座った。




< 412 / 487 >

この作品をシェア

pagetop