一匹少女が落ちるまで
「ご飯、何作ってくれたの」
キッチンにやってきた赤羽くんは、星花にそう声をかけた。
「…え、あ、ハヤシライスだよ。ソノちゃんにもちょっと手伝ってもらったけど」
「え〜ちょっと?かなり手伝…っなんでもないです」
突っ込もうとした園子を星花が勢いよく睨みつけるので、園子が慌ててそう言った。
「あ、私、玲奈ちゃんと心ちゃんと喋りたい!紫月紹介してっ!」
「…えっ」
「鈍感紫月ちゃん、早く」
園子は意味深な笑顔でそう言うと、私の手を強めに握ってから、赤羽くんと星花の間を通った。
私は少し振り返って、星花と赤羽くんを見る。
あの2人…。
いつからあんなに親しそうに?
星花は赤羽くんとなんだか楽しそうに話していて…。
会ったのはたった一回のはずだけどな…。
少し疑問を抱きながら、私は園子と、心と玲奈がいるダイニングテーブルに座った。