一匹少女が落ちるまで
「父さんの会社がどんどん大きくなるにつれて、父さんは俺たちに、恥をかかせる息子にならないようになんて言うようになってきて…けど、長男の俺が先に失敗したばっかりに、理央にたくさんの重荷を背負わせているんだ」
「そんな…」
「だけど、父さんの唯一の希望だった理央も、バスケを辞めたなんて聞いたらから…」
「1番起こってほしくないことが起こってしまったけど、バレるのも時間の問題だったと思う」
理央はあんな風に怒鳴られたのに至って冷静だ。
「なるほど…だから桜庭くん、図書室に隠れてたんだ…」
玲奈が話を聞いてそううなづく。
私も、初めてやっと理解した。
理央が図書室に来てた理由。
それは、部活が終わるまでの『時間つぶし』だったんだ。