一匹少女が落ちるまで
理央の友達3人が帰った後。
紫月ちゃんと園子ちゃん、そして理央。
4人でうちに向かう。
『話したって無駄だとか、俺はできないとか、初めっから決めつけてるからダメなのよ!』
初対面なのに、園子ちゃんは俺の横を歩くたびに叱りまくる。
わかってる、つもりだった。
でも、わかっていなかった。
父さんに叱られるのは苦痛で、逃げ出したいと思っていたのに。
園子ちゃんの言葉には違う何かがあって、なんだか心地が良かった。
「園子ちゃんはどうして俺のことがわかるの」
「…私とちょっと似てるから」
「え?どこが…」
俺と彼女が似てる?
全く正反対だ。
明るく元気で、言いたいことはなんでも言えて…。
「顔面偏差値がちょっと高いとこ」
────っ!!
園子ちゃんは、俺の前髪を手でガッとあげてそう言うと「ほらね」なんて言って笑った。
その瞬間、俺の心臓がトクンと静かになったんだ。