一匹少女が落ちるまで


──────


「ただいま…」


先頭に立って、玄関でそう言うとドンドンと歩く足音が聞こえて、俺の手が少し震える。



「どう言うつもりで来たんだ」


「……」


「理汰の話を聞いてください」


「理央の話もちゃんと聞いてください」


園子ちゃんと紫月ちゃんが、そう言う。


俺ら兄弟は本当かっこ悪い。


女の子に助けてもらうなんて。



「話?一家の恥晒しになっても平然としてる長男の話か?それとも、父親の期待を裏切って嘘ついて遊び呆けてた次男の話?」


父さんは腕組みをすると「まぁ、いい。入りなさい」と俺たちをリビングに促した。


………

………



「父さんの言うこと、わかってくれたんだよな。だから帰って来たんだろ?」



「……」


キッチンでは、母さんが俺たちの顔を見て安心した表情をしてから、黙って人数分の紅茶を用意しだした。




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