一匹少女が落ちるまで
「あんなところ見せちゃって本当にごめんなさい」
「…理央のお母さんは悪くないじゃないですか。理央だって、理汰だって…」
園子のセリフに私もうんうんと頷く。
「…ありがとう。あなた達みたいな友達がいて、2人は幸せものよ」
「……」
「……」
父親が味方でいてくれようとしないのに…。
どうして幸せ者だなんて…。
*
*
家に着いたのは、夜の10時過ぎで
家の駐車場にはお母さんとお父さんの車が止まっていた。
仕事から帰ってきたんだ。
私と園子が車から降りると、家の玄関がガチャと開いた。
「送ってくださりありがとうございました」
お母さんがこちらにやってきて、車から降りてきた理央のお母さんにそういった。
理央のお母さんは申し訳なさそうに黙って頭を下げただけ。
そして、またすぐに車に乗り込んでから車を走らせた。