一匹少女が落ちるまで
「紫月…3人のこと置いてこんな遅くに外に出るなんて…どうしたの」
家に入るとすぐ、お母さんがそう聞いてきた。
妹たちと弟を置いて家を抜けるなんて、
長女としてあるまじき行為だ。
きっとお母さんは怒ってる。
今まで心配かけないように頑張って来たっていうのに。でも、理央たちのために止められなかった。
浴室のドアの向こうからシャワーの音がかすかに聞こえるからきっとお父さんがシャワーを浴びているんだろう。
「凛子(りんこ)さん、紫月は悪くないの。私が行こうって連れ出して…」
私が口ごもっていると、園子が代わりにそう話した。
半分本当だ。
みんなで理央のお父さんの話をして、それから赤羽くんが帰って、玲奈のお迎えの車がうちの前にきて、心と一緒に帰った後。
理央と理汰さんが帰ろうと立ち上がった時、『うちらも行く!』と突然園子が言い出した。
でも、私もそれはいい案だと思ったから園子だけの考えではない。