一匹少女が落ちるまで
「ごめんなさいお母さん。だけど、すごく行きたかった。園子の気持ちだけじゃないよ」
私がそういうとお母さんは上着を脱いでシャツの1番上のボタンを開けると、ダイニングテーブルとセットの椅子に座ってニコッと笑ってこちらを見た。
「まぁ、紫月が自分からそんなこというんだから、相当な理由があるんだと思うけど」
「うん」
「だからって、長女なんだから下の子たちほったらかして夜女の子2人で出歩くなんて、今後絶対にあったらいけないことよ」
お母さんが私のことを思って言ってくれてるから、反省はしている。
だけど。
「もう、絶対ないから。今日だけ」
「うん。じゃあ説教は終わり。何があったのか話してくれる?」
お母さんは頬杖をつくと、かっこよく口角を上げるとそう言った。